これまた玄侑宗久さんの本からですが、日本人には桃より梅の方が
好まれるそうです。
梅というのは寒い冬を耐え忍び、早春に花を咲かせる。
冬の寒さが厳しいほど香りも強い。
この、苦労がやがて開花する(がんばればいつか報われる)というのが
日本人に受け入れられやすいのだとか。
では、桃はどのような印象ですか?
美味しい…、ですよね(笑)
桃は、古事記や今昔物語の中で、鬼と戦う時に登場するそうです。
桃太郎なんかもそうですよね。
そのため、玄侑さんは「どうしてそんなに桃が鬼に強いのか、と考えると、
どうも無邪気さに触れて邪気が失せるという理由しか思いつかない」と
おっしゃっています。
桃は「無邪気」なのですね。
邪気がないというのはすごいことです。
そして、「がんばればいつか報われる」ということについて、玄侑さんは
次のように書かれています。
誰にでもわかる形で因果が見えると思うのは浅はかだと思います。
将来のために我慢して今を過ごしていたら、そのまま地震で死んじゃう
かもしれないでしょ。だから今していることの功徳は今味わうんですね。
今という時間を最大限に楽しむということでしょう。
つまり、過去や未来を離れた今に生きることですから、邪気が宿ること
もない。そこから無邪気さというのも出てくるわけです。
それが桃的人生。
百パーセント「今」に生きることこそ桃的人生であり、極楽なんですね。
これは、がんばらなくてもいいということではなく、がんばっていること
自体を楽しむということでもあると思います。その時その時を楽しむ。
桃的人生、いいな~と思いました。
桃的人生で出てくる「我慢」とは少し意味合いが違うようなのですが、
「我慢」についても書かれています。
我慢はいけません。
無理無体な現実に直面したとき、心をそれに適応させる努力をしない
ことを「我慢」というんです。
心や意識を変容させることで「我慢」などせずに済むのに、それを
サボって怠慢しているのが「我慢」です。
だから「我慢」は子供のすること。「我慢」を卒業したら大人と
いってもいいんじゃないでしょうか。
我慢せずに受け入れられるような人間になれ、ということですよね。
そうなれるようがんばります。
※引用した部分だけを読んでも意味が伝わらないかも知れません。
すみません…。